FAbULOUS 中村健一さん

まちの1人目
中村健一さん(有限会社ラウンド・アップトレーディング代表取締役)

このページでは、創成東で面白いコトをおこす「ひと」を紹介していきます。

今回、お話をお伺いしに向かったのは、南1条東2丁目にある複合店舗「FAbULOUS(ファビュラス)」。アメリカのストリートカフェを感じさせる店舗では、カフェスペースの他、雑貨や家具なども販売しています。まだ古いまちというイメージが強かった創成東にカフェをひらくに至ったいきさつを、まちひと・中村健一さんにお聞きします。

きき手:山本忠(さっぽろ下町づくり運営スタッフ)

 

山本:この場所に店舗(ファビュラス)を構えて何年目ですか?

中村: 12年目です。

山本:ここにした決め手、みたいなものはありましたか?

中村:たまたまというか、巡り合わせというか。もともとまちの中心部で古着や家具などを扱うショップをいくつかやっていたんですが、次はしっかりと家具を扱えるような広いスペースに出店したいと思っていました。それで中心部からは少し離れた場所を探していたら、この建物に出会ったんです。当時はガレージだったんですよ、ここ。人が訪れるような空間に変えることができるのか、正直不安もありましたが、理想のお店像に近づけるためにはここしかないと思って、店舗デザイナーさんと話し合いを重ねました。

山本:理想のお店像。それは以前から考えていたんですか?

中村:頭の片隅にはあったんですけど、この物件を見て意識しだしたというか。ただ周りの人からは大反対されました。箱があまりにも大きいのでランニングコストもどのくらいになるか想像もつかないし、こんな寂れた場所で商売するなとか。

山本:当時の創成東は、「雰囲気暗い!」というような声ばかりが聞こえましたよね。自分も12~14年前、東で商売してみない?って声かけて相当数断られました。

中村:でも自分なりの勝算があったので出店しました。僕の場合、アメリカに住んでいて海外を見ていた影響は大きいと思います。ロスにあった倉庫群だとか、買い付けに行く場所と物件の匂いが似ていましたね。アメリカでは古い物件を自分達でDIYでリフォームして、自分たち流に商売をすることが当たり前でしたので、違和感はまったくなかったです。

山本:今でいうとセルフリノベーションってものにあたるかな。先取りしすぎですね(笑)。FAbULOUSがオープンした12年前、札幌には業種がミックスした複合店舗はほとんど無かったのでは?

中村:まだ「ライフスタイル」という言葉があまり使われていない時代。ライフスタイルの提案を表現していた店舗は、札幌だとD&DEPARTMENT、アフタートークかなぁ。僕はずっと物販畑で、家具やデッドストック物を扱っていたのですが、高額商品の商談をしている際に、お客様にリラックスしていただくためのラウンジが欲しいなと思いはじめて。それがカフェをつくろうという考え方のはじまりですね。

山本:最初は、物販の為のカフェスペースであったと。

中村:そうなんです。カフェスペースでの売り上げは期待していませんでした。あくまでお客様へのサービスとして考えていました。外車のディーラーさんなどに行くと、コーヒーを飲みながら雰囲気のあるサービスってあるじゃないですか。当社もヴィンテージやアンティーク物の高額商品を扱っていましたので、その空気感をお店の商品にあわせて出したかった。

山本:そのことをお店として表現してオープンする訳ですけど、実際お客様の反応はどうでしたか?

中村:手応えはまったくナシです(大笑)。カフェのコーヒーを紙コップで出していたんですよ。シアトルスタイルだって言い張って。アメリカのキヨスクっぽい感じを出したくてメニューは何種類かのケーキと紙コップのコーヒー。お客様にアメリカを感じさせたかった。

山本:古き良きアメリカ、そのライフスタイルの提案。

中村:ですね。そうこうしていると、とあるブロガーさんの「札幌に検尿カップでコーヒーを飲ませる店がある」という記事から火が付き始めて。

山本:検尿カップ?!

中村:おそらく紙コップで提供する様子を面白く書いたんですね。コップにスリーブを巻いて、ロゴスタンプを押して出していたので。でも、ライフスタイルの提案ですから紙コップ等は全てアメリカから輸入して使っていたんですよ。そこは本気です。

山本:そのことがきっかけで、意図せずカフェの売り上げが伸びて行ったんですね。

中村:そのころも物販ショップがメインだ!って気持ちでやってましたが、お客様が隠れ家カフェみたいな使い方をし始め、食べ物の要望が増え出し、料理メニューを充実させ、厨房も増設し…今に至ると。ニーズに従いました。

山本:今のFAbULOUS、複合店舗としては札幌のトップランナー的な位置になると思うのですが、お店の理想像になっているものはやはりアメリカの影響が大きいですか?

中村:アメリカってなんかいいじゃないですか。僕たちが思春期に触れてきた映画・音楽、アメリカ文化が圧倒的に多い。映画の中で、アメリカの高校生は真っ赤なピックアップトラックにチアガールを乗せ、プロム(ダンスパーティー)で会った女の子と恋をするし、子どもたちはネルシャツにカーハートのジャケットをはおり、BMXに乗って冒険に出る。何もかも日本と違って見えた。圧倒的にカッコイイ。その国に行ってみたかった、それが全てですね。

―アメリカへの憧れ心は、ついに中村さんをアメリカへと旅立たせていきます。現地での滞在記とFAbULOUSオープンまでのお話は、また次回に!

(つづく)

取材協力:FAbULOUS

http://www.rounduptrading.com/

企画・構成:山本忠/(株)ピントハウス 近藤洋介/(株)ノーザンクロス

編集:行天フキコ/(株)ノーザンクロス